さぽろぐ

日記・一般  |札幌市手稲区

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2009年02月24日

宮の森の思い出(2)

新聞に掲載された家につくと、生まれたばかりの子猫が

4~5匹はいただろうか。


どの猫を選んでもいいとその掲載主の奥さんが言われるので、

私はその中で一番元気そうな茶トラの猫を選んだ。


まだ体長15cmほどで、少しヒマラヤンの血が入っているのだろうか、

茶色の毛は子猫とはいえ、すでにふさふさしており、あいくるしい表情をしていた。


わたしはすぐにその子猫が気に入り、

御礼もそうそうに「彼」を車に乗せて、自宅へと急いだ。


札幌も寒さを増し、本格的な雪の季節にはいる少し前の頃である。


ホアキンという名前がつくのはそれからまだ大分先のことで、

ほどなく自宅の駐車場に到着すると、後部座席にいたはずの

「名無しの権兵衛茶トラ」が車内のどこにもいない・・・・・・


彼としては生後まだ僅かな期間といえど、

住み慣れた家から連れ出され、

はじめての「揺れる小さな家」に無理やり乗せられ

一大事件であったろう。


怯えるのも無理はないのだ。


車内をくまなく探してようやく見つけたのは

車前部の下にある本当に狭いカバーの中であった。

隠れるように身を潜ませていたのだ。


抱きかかえて室内に入るとすぐさま、

彼は身を低くして、

カラーボックスの僅かな隙間にもぐり込んでしまう。


えさやミルクを差し出しても、見向きもしない。


彼がようやく慣れてくれるまで、何日かかったか、

今となっては定かではないが、

恐らく1週間くらいはゆうにかかったのではないだろうか。


勿論、その間、飲まず食わずということではなかったが、

私が隣室にいる間にそろそろと出てきては、

近くに置いてあった食器からえさを盗むように食べていた。


トイレについても記憶がはっきりしないが、

全く苦労した記憶がないし、

そういえば、いただいてきた先の奥さんが

トイレの習慣はついているとおっしゃっていたので、

近くの砂場ボックスでしていたのに違いない。


なるべく彼を怖がらせないように、

彼との交流を試みる日々が始まる。

気を遣うことが、

当時のわたしにはとても大切なことでもあった。


自分一人のことで考え込む時間を

彼はみごとに吸い取り、シェアしてくれたのだ。


動物とはいえ、ある意味で人間以上に救いとなるときもあるのだった。


             つづく








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